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■人の嫌がる仕事や面倒なことをやらせる必殺のセリフとは「子どもは、ほめて育てよ」といわれるが、これは心理実験でも確認されています。 アメリカのハーロックは、小学五年生を対象につぎのような実験を行なった。 生徒を三グループに分けて、足し算の計算問題を解かせ、グループによってその後の対応を変えたのです。 Aのグループは、成績の良し悪しに関わらず、とにかくほめる。 Bのグループは、成績の良し悪しに関わらず叱りつける。 Cのグループは、どんな成績であれ、ほめも怒りもしない。 この実験を5日間続けて行なったところ、Aのほめられるグループは5日間連続して、成績が上がっていき、Bの叱られるグループは、最初の3日間は成績が上がったものの、それ以降は伸びず、Cの無視されるグループは、ほとんど成績に変化がなかったそうです。 つまり、無視されるよりは、叱られたほうが、成績は上がりますが、すぐに伸び方が止まってしまうため、生徒をがんばらせたいなら、ほめるのがベストということです。 この「ほめられれば、がんばる」というのは、「成績を上げる」といった、一般に好ましいと思われる行動にだけ影響するものではなく、世間的に好ましくないと思われる行動についても、見られる現象です。 それを証明したのが、ギーンとストナーによる実験である。 まず、二人の被験者のうち、一人を生徒役、もう一人を教師役にします。教師役は生徒役に課題を与え、正解すればつぎの課題を与え、間違えば電気ショックを与えるのです。この電気ショックは、1から10まで段階を調節でき、教師役の人は、強さを自分の好きに選んでいいというものです。 最初のうち、教師役の人はたいてい生徒役の人に気を使い、弱い電気ショックを与えていましたが、ギーンらが強い電気ショックを与えたときに教師役の人をほめると、だんだん様子が変わってきて、生徒役の人に対し、強い電気ショックを与えるようになっていったのです。 強制されてもいないのに、他人に強い電気ショックを与えるのは、普通なら抵抗があるものですが、誰かからほめられると、それが次第に平気になってくるのです。ほめる行為には、本人がやりたくないと思っていたことすら、進んでやらせる効果があるのである。 この心理効果を使えば、みんなが嫌がる仕事、つまらない仕事を一生懸命やらせることも可能になる。最初はイヤイヤしていても、「うまくやってるね」「その調子で頼むよ」などとほめられているうち、人は期待に応えようと熱心にするようになっていくのです。 |
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