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■組織への忠誠心を高め、組織力をアップさせる秘策とは大企業には、「○○大出身者」による学閥(がくばつ)が存在します。同じ大学の卒業生ということで、情報を交換したり、便宜を図ったりし合うのですが、この学閥、どこの大学出身者でもつくるかといえば、そうでもなさそうです。 東大、早稲田、慶応など、難関校といわれる大学の出身者によるものが、圧倒的に多く、力をもっているようです。 これには、歴史が長くOBが多いとか、政財界にも顔がききやすいこともありますが、ほかにも「あの難関をくぐった同士」であるという連帯感が背景にあるといえます。 人間は、ある組織の入会に難しい条件を課せられたときほど、その組織に対する愛着がわきやすい傾向があるようです。 つぎのような心理実験があります。 アリンソンとミルズが行なったもので、まず「性についての討論クラブ」という女子大生を対象にしたクラブを設立させ、このとき、集まった入会希望の女子大生を、入会の難易度に応じて、三グループに分けます。 一つは、希望すれば、誰でも入会できるグループ。 二つ目は、入会するための条件が課せられるグループで、男性の前で十二の卑猥(ひわい)な言葉を朗読し、さらに小説から抜粋した性行為に関する二つの文章を朗読する。 三つ目は、入会条件が課せられるが、その内容が二つ目よりも簡単で、性には関連があるが卑猥ではない五つの語句を朗読する。 入会希望者は結局、全員入会が認められますが、その後、全員に性についての討論を聞かせます。討論の内容は、動物の生殖行動に関する非常に退屈な内容で、聞き終わったあとで、彼女たちに質問を二つ行なう。 一つは「討論の内容がおもしろかったか」、もう一つは「このクラブに入会できてうれしいか」です。 その結果、「討論の内容がおもしろく、入会できてうれしかった」ともっとも多く答えたのは、入会のために厳しい条件が課せられた二つ目のグループだったということです。 厳しい入会条件をくぐり抜けた分、他のグループの人よりもクラブの会員になったことを名誉に思い、そこでの活動も楽しく感じたというわけです。 そういう組織への思いが強いほど、組織に対する忠誠心も高くなり、メンバー間の団結力も強まることは間違いないでしょう。 難関校出身者ほど結束しやすく、強力な学閥をつくるのも、こうした心理と関係があるといえそうです。このような心理は、組織づくりを考えるうえでも役に立ちます。 たとえば何かプロジェクトを組むとき、ただ適任者を探してメンバーにするのではなく、人選に何らかの条件を課すのです。 たとえ全員を合格させるつもりでも、難しそうな面接や筆記試験を行ない、その後メンバーに指名すれば、彼らはプロジェクトメンバーに選ばれたことに誇りをもつし、メンバー同士の団結力も高まります。 単に指名する場合と比べて、チームが機能しやすくなるのです。 |
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