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■ミエミエの「おだて」でブタも木に登るキャバクラなど風俗店の前を通ると、「社長、かわいい子がいますよ。寄っていきませんか」と、呼び込みが声をかけてきます。 呼び込みは、相手が若かろうと、およそ社長に見えないほどしょぼくれていようと、「社長」と呼びかけます。 はたで見ていると、「あんなミエミエのお世辞に、引っかかるヤツがいるのか」と思ったりもしますが、これはこれで結構効果的なのです。 誰しも「社長」と呼ばれて悪い気はしません。実際は係長止まりの人でも、「もしかしたらオレは社長に見えるのか」という気持ちさえしてきます。お世辞、セールストークだとわかっても、なんとなく自尊心を満たされるものなのです。 この自尊心の満足感がクセモノで、こういうとき、人の心は無防備になって相手のいいなりになりやすくなります。だから、「この店、ちょっと高いかも」と思っても、「社長」といわれるとつい入ってしまうのです。 店内に入ってからもそうです。 女のコから、「こんな話をするのは、○○さんだけよ。○○さんには、本音を聞いてほしくて」などといわれると、「もう一杯頼もう」「つぎからもこのコを指名しよう」と思ってしまいます。これもやはり、「○○さんだけ」と特別扱いされたことが、自尊心を満足させるからです。 これも冷静に考えれば、「どのお客にも同じことを言っているに決まっている」とわかるはずです。 ですが、優越感をくすぐられ、心が無防備になっていると、そのことに気づかなくなるのです。特に、「オレはモテる」と思っている人間ほど、こういう誘いに引っかかりやすいです。 もともと自信があるため、ちょっとプライドをくすぐられるだけで、「やはり、オレはモテるんだ」と、いいほうに解釈してしまうのです。 もちろん、これは水商売にかぎった話ではなく、DM(ダイレクトメール)に「あなたは一万人の中から選ばれました」「あなただけに特別割引サービスします」といったフレーズがあると、つい興味を持ってしまうのも同様の心理からです。 このときもやはり、「自分は運が強い」とか、「自分は能力がある」と思っている人ほど、引っかかりやすい傾向があるようです。 相手の心を無防備にさせ、こちらの思い通りにしたいときは、相手の自尊心を思う存分くすぐってやればいいのです。 「あなただから、こんなことを話せるんです」などと優越感をくすぐる言葉を使えば、相手はこちらの話に乗ってきやすくなるはずです。 |
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