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雨の日に訪問し、熱意を感じさせる


誠意だの熱意だのというものには、形がありません。人間はそれを、態度や行動の中に見出そうとします。だったら、誰の目にも明らかなように、形を作ってみせてやればいいのです。



ワルは冷静沈着がモットーですが、誠意や熱意が似合わないと思うのは大間違いで、商談相手を口説き落とし、こちらに有利な条件で契約を結ぶためには、それが強力な武器となります。世の中には、
「誠意を持って」対応させていただきます
と言っても、
「誠意って、具体的にどんな形で?」
と切り返してくるような皮肉な相手もいます。そういう人には、誠意のあるべき形を教えてあげましょう。

お膳立てとして使うのが雨です。土砂降りになったら、これ幸いと、いちばん落としたい会社に出かけます。当然、大事なスーツが濡れるわけですが、大きな契約を成立させ、営業成績が一気に上がることを考えれば、クリーニング代くらい安いものです。

★相手の会社に着いても、あまり丁寧に水気を拭き取ってはダメです。床に水滴を垂らさない程度にして、髪や襟、ネクタイなどの形だけ整え、いつも通りの顔をして相手に会います。

すると相手は、「傘をさしてもびしょ濡れになるほどの豪雨の中をわざわざやってきた。さわやかな笑顔まで浮かべて・・・」と、感動すら覚えるでしょう。

なかなか土砂降りにならなければ、たいした雨でなくてもいいから出かけてみます。そのときも、ズボンの裾や背広の袖口、肩先などは、わざと濡らしておく。雨に濡れた姿を見ただけで、相手は熱意を感じます。

アポを取った日にちょうど雨が降れば、じつにラッキーで、相手との約束を守ろうと、必死でやってきたと印象付けることができます。
ハンカチを手に、失礼にならないように気を遣う姿は、誠意と熱意以外の何ものでもありません。「そんなになるまで頑張るとは」と、濡れた哀れな姿に同情さえ寄せてきます。これで交渉が有利に進むことは請け合いです。

一般的に、交渉ごとは天気のいい日のほうがスムーズに行くといわれますが、したたかに生きるには、さらにその一歩上を行かねばなりません。
澄んだ空やさわやかな風は、たしかに人の気分をよくします。商談相手の機嫌がよければ、話が進めやすく、会話も弾みやすいです。

好天が好まれるのは、営業活動に限りません。アンケート調査でいい回答率が得られるとか、外気に関係ないはずのレストランでもウェーターに支払われるチップの額が多いとか、アメリカでの心理学の実験では、そんな結果も出ているようです。天気の良さは、人間の心の扉を開きやすくするようです。

しかし、本当にできる人間は、この心理でも逆手に取る。雨の日はうっとうしいからこそ、利用のしがいがあるのです。





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