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一点だけほめて、自分のことをわかっていると思わせる


人の心を捉えるには、弱みを握っているだけでは不十分で、ほめる材料を日頃からストックしておくことも重要です。

★ほかの人が気づいていない長所や功績は、とくに注意して覚えておくことです。相手の注意をこちらに向けさせ、好意を持たせるきっかけになるためです。



たとえば、社内で評判の美人と親しくなりたい場合、誰もが口にする「きれい」「美人」といった言葉でほめても、たいした効果は期待できません。

美人は自分がきれいだと知っているし、男からそう言われることに慣れています。ほめられれば悪い気はしませんが、新鮮味も感動もないでしょう。何とか自分を振り向かせようとしている、あまたの男のうちの一人としか見られません。

★効果的なのは、ポイントを一点に絞り込んでほめるやり方です。

たとえば、「指がきれい」「お茶を飲むときのしぐさがきれい」といった具合です。一点を繰り返しほめられているうちに、相手は自分のすべてをほめられたような気がしてきます。

ただし、「まつげが長い」「えくぼがかわいい」「目が大きくてきれい」「スタイルがいい」など、誰もが真っ先に気づくチャームポイントは避けることです。ライバルが気づかないところを指摘してこそ、意味があります。

落としたいターゲットの行動には日頃から目を配り、ほめる材料を集めておけば、相手をドキリとさせるほめ言葉が見つかるはずです。

★これで相手は、「この人はほかの人と違う」「自分のことをよく知っている」と思ってくれます。それで、いい印象を持たないわけがありません。

もちろん、ほめるのは容姿に限りません。美人は、かえって性格や中身をほめたほうが喜びます。その場合も、漠然と「いい人」「優しい」というのではなく、「後輩の面倒見が良く、頼りにされている」などと、具体的にほめます。

同じテクニックは、後輩や家族にも使えます。
たとえば、部下をほめるとき、「君は仕事ができる」「頑張ってるな」などと漠然とほめただけでは、相手の心を捉える効果は少し弱くなります。

「A社からのクレームに対する君の応対はよかったよ。A社が機嫌を直してくれて大事にならなかったのも、あの応対のおかげだ」
といった具合に、他の人が決してしないような、ほめ方をすることです。すると、相手は「そんなことまで見ていてくれたのか」と感激するはずです。

それだけで、この部下は「字部のことをよく見てくれている、いい上司だ」と、自分の評価を広めてくれることにもなるのです。





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