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■相手の心理を誘導してしまう方法(11記事)
テレビドラマ「相棒」の杉下右京さんが、「あとひとつだけ、質問をしてもいいですか」とよく使っていますね。 容疑者宅を訪問した刑事や探偵が、帰りがけによく口にするセリフです。 そして、このセリフがきっかけとなって、それまで完璧と思われた容疑者の言動にボロが出始めます。これもよくある展開です。 なぜ、このセリフを言われた容疑者はボロを出してしまうのかというと、それは、容疑者が心理学でいう「テンション・リダクション」のワナにはまったからです。 人間というのは、何か重要なことにあたるときには、必ず緊張が高まり、集中力もアップします。 ★そして、その何かを乗り越えることができると、一気に緊張状態が解けて、今度は注意力が散漫になってしまいがちです。 そんな状態をテンション・リダクションというのです。 犯行を疑われている容疑者にしてみれば、刑事の厳しい追及ょ口八丁手八丁でなんとかかわし、言い逃れたと思ったときがまさにその状態です。 そんなとき、いったん帰りかけた刑事や探偵に「あ、あのひとつだけいいですか」と言われると、油断からついボロを出してしまうというわけです。 そんな心理をうまく利用しているのが、アマゾンなどのネットショッピングです。 ショッピングをする側としては、「注文を確定する」トイウボタンをポチッと押すまでは、あれやこれやと悩むものです。ですが、いったん決めてしまうと、ホッとして気が緩むでしょう。テンション・リダクションの状態になるわけです。 ショップ側はその緩みを逃がしません。「この商品を購入された方は、こんな商品も買っています」と、過去の購入データをもとにデータを分析し、消費者が購入したくなるようなほかの商品を画像付きで紹介してくるのです。 ★「クロスセル」と呼ばれている手法ですが、これが意外と効果があり、「じゃあ、ついでに買っちゃおうか」という気にさせてしまうのです。 あなたもつい買ってしまった経験があるのではないでしょうか。
考えて見ますと、私たちはたくさんの数字に囲まれて暮らしています。そしてその数字に、知らないうちに心理面で影響を受けています。 ここでは、数字にまつわる心理法則、心理効果をまとめてご紹介します。 ★嘘の五三八(ごさんぱち) これは、「日本人は」数字に関する嘘をつくとき、5・3・8を使いやすい」というものです。似たような言葉に「嘘の三八」というのもあります。 どちらも明確なデータがあるわけではありませんが。適当に誤魔化して数字を並べるとき、つい5や3や8を使ってしまうことが多いです。 だいたい、嘘をつくとき、人は切りのいい数字は避けるものです。「体重は何s?」と聞かれて「60s」というと切りが良すぎて嘘っぽく聞こえます。ですから、つい「58s」とか「63s」と答えてしまいやすいです。 また、日本人は語呂合わせが得意な上に縁起を担ぐことがあり、4は死、9は句に通じるので、無意識に避ける傾向もあります。 逆に8は「八」で末広がりの縁起のいい数字ですので、誤魔化すときに無意識に使ってしまうのかもれません。 そうした理由かに、結果として「3・5・8」を選んでしまうのかもしれません。 ★端数効果 数字を使って説得するときは、「切りのいい数字よりも端数を利用したほうが信憑性が上がる」ことは心理学的にも実証されています。 それを「端数効果」と呼んでいます。スーパーなどで見かける「198円」という値札も奇数効果をねらったものです。人は200円といった切りのいい数字より、198円のように端数のある数字のほうが、意味のある数字だと勝手に解釈しようとする傾向があります。 しかも、わずか2円の違いなのに驚くほど安いと感じてしまいます。それも端数効果の威力です。 ★マジカルナンバー「3」 「三日坊主」「三日天下」「三角関係」「三度目の正直」「早起きは三文の得」「仏の顔も三度まで」「石の上にも三年」などなど、慣用句やことわざには思い出したでけでも「3」のつくものがたくさんあります。 「3」は、多過ぎず、少なすぎもしない筋として、私たちが認知する上で程よいバランスがある数字とされていますが、とてもマジカルな数字でもあります。 あのディズニーランドでも、人間が心理的にじっと耐えられる時間を3分と規定して、アトラクションの行列をつくって並ぶ人たちを同じ場所に3分間以上とどめないようにしたり、気を紛らわすものを配慮したりして、飽きがこないよう工夫しているようです。 あのウルトラマンが地球で戦える時間も3分のはずです。
@ 「床を汚すな! 一歩前へ!」 A 「いつもきれいにご使用いただきありがとうございます」 この注意書きは、飲食店などの男子トイレの便器の前に張っているのです。 男性の人なら、一度は目にしたことがあるでしょう。 どちらの注意書きのほうが効果があるかはさておき、これを心理学的に見ると興味深いことがわかります。 @は「ネガティブフレーム」、Aは「ポジティブフレーズ」を使って、私たちにトイレをきれいに使うように訴えているからです。 言葉の使い方や伝え方で、相手の心理に与える影響は大きく変わってしまいます。 ネガティブフレームとは、「禁煙しないと、寿命を縮めますよ」というようにネガティブな内容を告げる言い方です。 ポジティブフレームとは、「禁煙すれば、長生きできますよ」というようにポジティブな内容を告げる言い方です。 どちらも禁煙を促していることには変わりはないのですが、見た人の受けさめ方は違ってきます。禁煙が体に害を及ぼすことは十分認知されていますので、この場合は恐怖を感じさせるネガティブフレームのほうが効果があるとして、タバコのパッケージなどには前者が採用されているようです。 ですが、「バッテリーは2年しか持ちません」(ネガティブフレーム)と「バッテリーは2年間交換不要です」(ポジティブフレーム)では、後者のほうが消費者心理に良いイメージで受け取られるので、企業の多くは、商品に後者を使います。 このようにケースバイケースで、ポジティブフレームとネガティブフレームは使い分けられているのです。
好きな人、よく思われたい人人に気持ちを伝えるのは大切なことです。ですが、 「何て言ったらいいかわからない」 そんなふうに思い込んで、言葉を飲み込んでしまう人は多いはずです。 今回は、そういう人に、「スリーパー効果」という心理学効果と、それを使った恋愛テクニックをご紹介しましょう。 人に好かれる人は、自分の思いを伝えること、相手を褒めることにためらいはありません。とにかく褒めまくります。 「○○さんは、本当に仕事が早いですね。デキる人ですね」 「君ってホントにきれいだね」 そういわれた相手はこう思うかも知れません。 「まあ口のうまいこと。どうせみんなに言っているんでしょう」 ですが、不思議なことに、時間が経つと、そのときの細かい情報は記憶から消えていきます。 「こんな人に、こんな言い方で褒められた」という余分な情報は薄れていき、残るのは「デキるね!」「きれい!」という内容だけになります。 誰だって褒められれば嬉しいもので、その嬉しい記憶だけが残ります。 そして、「この人に言われたから、やっぱり信用できない」ではなく、「ああ、この気持ちいい情報をくれたのは、この人だったんだ」と考えるようになるものです。 その結果、相手に行為を抱くようになるのです。 ★このように時間と共に余分な周辺情報が消えて、芯の部分だけが印象に残ることを「スリーパー効果」といいます。 どんなに歯の浮くようなキザな褒め言葉でも、脳の記憶庫に眠らせている間に「歯の浮くような」や「キザな」が消えて、褒め言葉だけが残るということです。 気に入られたいのなら、とにかく褒めるに限るということです。
最近の研究では、仕事を頼む場合には、暇そうにしている人より、忙しい人ら頼んだほうが良い結果になることがわかっています。 ★常に仕事を抱えて忙しい人は、そうでない人よりも仕事に対するモチベーションが高く、もし納期に間に合わなかった場合でも、短時間で仕事を完遂できるけいこうがあることがわかったそうです。 つまり、仕事を依頼する側からすると、納期の設定をやや前倒しにするなど、少し工夫をこらしてでも忙しい人に依頼したほうが、確実に成果を見込めるということになります。 逆に、い忙しくない人は、納期が遅れた後も、その仕事をやり終わるのに時間がかかるということです。 また、どんなに難しい仕事であっても、忙しい人のほうが最後までやり遂げる粘り強さがあることも判明。さらに、作業にかかる時間も、忙しい人のほうが短時間ですませることができるという結果になっています。 忙しい人は、効率よく仕事をこなせる人でもあるということです。何か頼みたい仕事があるのなら、忙しい人に依頼するに限るということです。
占いなどが「当たる」と思ってしまうのは、「バーナム効果」が働いているからです。 ★「バーナム効果」とは、誰にでも当てはまるような曖昧で、一般的な性格を表す記述を、自分だけに当てはまる正確なものだととらえてしまう心理現象をいいます。 ですが、占い師があまり曖昧なことばかり言っていては、さすがに信用ができなくなってしまうのではないかと、思われそうですが、実際にはそうでもないようです。 占い師に見てもらった多くの相談者は、納得して帰っていくようです。 これは、相談者が占い師のもとにやってきて時点で、占い師の言葉を信じやすい心理状態になっているからです。 これは、「自尊心仮説」といって、自尊心の低い人のほうが、自尊心の高い人よりも、他人の話に影響されやすく、説得されやすい傾向にあるということです。 占い師にやってくる人は、何かしらの悩みを抱えていることが多いものです。つまり、自尊心が傷ついていたり、低くなっているわけです。 ですから、すでに最初から占い師の言葉を信じやすくなっているのです。 そういう心理状態の人は、相手が自信たっぷりで対応すれば対応するほど、その言葉を信用しやすいことがわかっています。
相手に何かを頼みたい場合には、頼む理由を言うかどうかで大きな違いがあります。 アメリカのある心理学者がコピー室で実験したところ、すでにコピーを取っているところに、 @ 「先にコピーを取らせていただきますか」 A 「急いでいるので、先にコピーをとらせていただきますか」 と頼んだときに、コピーを譲ってくれた割合は@は60%、Aは94%だったそうです。 @とAで違いが出たのは、頼み方に理由をつけたかどうかが、大きく影響しており、Aが圧倒的に譲ってくれた割合が高いのは、「急いでいる」という理由をつけたことによるものです。 ★この実験から、人に何かを頼むときには、単に「○○してもらえますか?」と言うよりも「□△なので、○○してもらえますか?」と理由をつけると承諾されやすいでしょう。 このように、ちょっとした理由をつけるだけで人が依頼を簡単に承諾してしまう心理を「カチッ・サー効果」と呼んでいます。 ですから、ただ「散歩しよう」ではなく、「天気がいいから散歩しよう」とか、「映画に行こうよ」ではなく、「面白い映画がもうすぐ終わるから行こうよ」のほうが説得力があるでしょう。
1sの貨物が持った後で5sの荷物を持つと、5sがとても重く感じるでしょう。 ですが、10sを持った後で5sの荷物を持つと、5sがとても軽く感じるはずです。 人には、最初ら体験したものを基準として物事を計る習性があるからです。 ★このように基準が変わるだけで印象が変わってしまう現象を「知覚のコントラスト効果」といいます。 この効果は身近なところでも使えます。 たとえば、日曜日の朝に体調が悪く、出社を午後からにしたい場合、 「体調がすぐれないので、今日は午後から出社をしたいんですが」 そんな電話をすれば、上司の機嫌が悪いと、こんな言葉が返ってくるかもしれません。 「週末、羽目を外しすぎたんじゃないか?」 「体調が管理がなっとらん」 ですが、こんな言い方をしてみたらどうでしょう。 「金曜の夜から寒気がしてたんですが、朝、熱を計ったら40℃近くありまして。土日寝込んでやっと熱が下がってきたので、今日は病院に寄ってから出勤したいんですが」 「40℃知覚から、平熱に戻った」という知覚のコントラスト効果が働いて、こんなねぎらいの言葉が返ってきそうです。 「ムリはするなよ」 「なんなら今日は休んでいいぞ」 コツは、前段の病気と後段の強気のコントラストを利かせるのです。 もちろん、ズル休みに使ってはいけませんが。
人が耳にして最も聞き取りやすい音、心地よい言葉は何かといえば、その最たるものは、自分の名前でしょう。 ★心理学用語で「カクテルパティー効果」と呼ばれるものがあります。 ざわざわっとしていてかなりうるさいパーティー会場でも、自分の名前だけはたとえ遠くから呼ばれてもよく聞こえることあるはずです。それが、カクテルパティー効果です。 聞き取れるのは自分の名前だけではありません。「地獄耳」という言葉があるように、自分が興味や関心を持っている鬼無などは、どんなにうるさくても耳に入ってきます。人間は自分の都合で耳に入ってくる情報を取捨選択できるのです。 電車の中で疲れて寝てしまっても、自分の降りる駅に着くと自然と目が覚めるのも、実はこのカクテルパーティー効果が働いているからだといわれています。毎日使っている駅の名前もまるで自分の名前のように認識しているので、うつらうつらしていても聞き取れるということです。 テレビなどに自分と同じ姓の人が出てくると、急に親近感がわいてくるのも同じ心理が働くから、自分の名前はそれほどに特別な力を持った言葉であるわけです。 ですから、自分の名前を呼んでくれる人のことは気になって仕方がありませんし、それが異性であれば余計に好意を持ちやすくなってしまいます。 もし、今、気になる人が友人や同僚の中にいるなら、会話をするとき、できるだけ相手の名前を呼ぶようにしましょう。 相手はきっとあなたのことを意識し、関心を持ってくれるはずです。
心理学用語で「錯誤帰属(さくごきぞく)」というのがあります。 あまり聞き慣れない言葉ですが、「吊り橋効果」なら、どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。 吊り橋効果とは、不安定な吊り橋を渡る恐怖から胸がドキドキしているのに、そのドキドキは隣にいる異性のせいで高鳴っているのではないかと錯覚して、ついさっきまでは特に意識もしていなかったのに、ステキと見えてしまう、好きになってしまう、あの心理のことです。 ★この吊り橋効果も、実は錯覚帰属のひとつなのです。錯覚帰属とは、起こった出来事の原因を実際の原因ではなく、別のものに帰属していると錯覚して思い込むことをいいます。 ドキドキしている原因を、吊り橋ではなく、隣の異性のせいだと思い込んでしまうのねその一例というわけです。 それほど人間は錯覚や勘違いをしてしまいやすい生き物だということです。その心理をうまく利用すれば、気になる異性を振り向かすことも可能になるということです。 それでは、気になる人を振り向かせるにはどれが一番効果的かわかりますか。 @ ちょっとしたものをプレゼントする A 何かとその人の視界に入るようにする B 自分のやっていることを手伝ってもらう 錯誤帰属の効果を活用したいのなら、解答はBです。 なぜなら、手伝わされた相手は、こんな思考をたどるからです。 「どうして自分は手伝っているのだろう」⇒「嫌いな人の手伝いなんかするはずがない」⇒「じゃ、もしかしてこの人のことが好きだから手伝っているのでは?」 そういう結論に達して、次第に手伝っている相手に好意を抱き始めるのです。 ですから、気になる人を振り向かせたいのなら、たとえ自分ひとりでやれることでも、口実をつくって手伝いを頼むことが大切です。
交際期間が長くなればなるほど、増えてくるのが恋人とのケンでしょう。 意見の食い違い、浮気や嫉妬、嘘やごまかし、金銭トラブルなど、ケンカの原因はさまざまですが、ケンカをより助長してしまう言葉がありますので、それらの言葉は要注意です。 「いつも私をほったらかしにして!」 「嘘ばっかり!」 「またそれかよ」 「だから言ってるだろ」 ★「いつも」「ばっかり」「また」「だから」、どれも相手の神経を逆なでする感情的な言葉です。 会話中にこれを連発すると、相手は頭にカァーッと血が上り、憎しみの感情ではらわたが煮えくり返ってきます。言えば言うほどセーブが利かなくなって、ますますパートナーを傷つけてしまい、ついには、「もう別れましょう」という最後通牒まで出てしまうことになりかねません。 ネガティブな感情は記憶を「強化」させ、脳に定着させてしまいます。つらい記憶、いやな記憶がいつまでも頭にこびりついて、ことあるごとに蘇ってくるのはそのせいです。 「いつも」「ばっかり」は、たまに相手がやってくれた行為もなかったことにしてしまう強力な言葉です。 一方、「また」「だから」は、これを連発されると、言われた側は無力感を覚えて、気持ちが萎えてしまいます。 どんなに仲のいいカップルでも痴話げんかはするものですが、それが破局の原因にならないよう注意されることです。 そうならないためにも、せめて「いつも」「ばっかり」「また」「だから」は禁句にしましょう。 |
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