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人を操ったり、操られないための心理法則U(3記事)





「好意の法則」 好きな人には「NO」と言えない


@ 好意の法則
好きな相手だと、多少無理な頼みごとでも断りにくいため、好意を持たせることで、相手を操ることがたやすくなるなります。

★ 恋愛感情を悪用して詐欺を働く不届き者も

「好意の法則」は、非常にシンプルなもので、「人は好意を持っている人の頼みは断りにくい」というものです。

セールスのコツは、相手に好かれることだとよくいわれますが、嫌いな人から買うより、好きな人から買いたいというのは、ごく自然な心理でしょう。たとえば、見積もりは安いが態度が横柄で感じの悪い人と、見積もりはやや高いが素晴らしく好感の持てる人とを比較した場合、同じ商品であれば後者のセールスマンから買いたい人のほうが多いのではないでしょうか。

いわゆる「デート商法」もこの法則の応用です。ターゲットが男性であれば、何らかの方法で女性を接近させ、デートを重ねて感情移入させた後に、女性が高額な商品をねだって買わせるという詐欺犯罪です。

宝石や毛皮、絵画など商品はさまざまですが、販売店も詐欺師とグルで、断ろうとすると強面の男たちが取り囲むなどして、脅して買わしてしまいます。脅されなくても、「好きな女性の前で恥をかきたくない」という心理が働き、無理して買ってしまう被害者も多いようです。

恋愛感情を利用して詐欺を働き、相手の財産を奪うだけでなく、心に大きな傷を負わせている点で、これらの犯罪は非常に悪質といえます。ただ、いうまでもなく、相手に好意を持たせることは、人を操る上では基本中の基本です。男女とも、好きな人に頼まれたら、多少無理なことでも「NO」というのは難しいものです。

A 相手を試して「好意の法則」に勝つ!
相手の指定する店には行かない姿勢で、様子を見、不自然な大金を要求されたら、詐欺だと疑おう。

★ だまそうとする相手の正体を早期に見破る

「惚れた弱み」という言葉があるように、好きな相手に頼まれたら、誰でも断りにくいものです。それだけに「好意の法則」への対策は厄介なので、早い時期に相手の正体を見極めることが、最大の対抗策といえます。

たとえば、デート商法は、ターゲットに高額なプレゼントを買わせて金品を巻き上げるのが目的です。にもかかわらず、最初はあからさまな要求はしてこないはずなので、相手の正体を見極めるのは難しいかもしれません。ただ、ほとんどの場合が「グルになっている店」に連れて行く手口なので、正体見極めの糸口にするといいでしょう。

そこで、プレゼントをねだられても、「ネットショッピングでポイントを貯めてからネットで買う」とか、「僕の知っている店なら割引がきくから」など理由をつけて、相手の指定する店には絶対行かないと宣言するようにしましょう。

普通ならどこで買ってもらおうと同じなのに、「そこでしか買えないものだから」などと抵抗の姿勢を見せたら、もう怪しむべきです。

とにかく、「実家が倒産」とか「親が重病」だとか、どんな事情を告げられても、交際相手から高額なお金を要求されたら、つき合いを考えるべきです。

「あなたには同情するが、私もお金に困っているので、どうしても貸せない」と言えばすむ話で、それでもしつこく食い下がってくるようなら、詐欺を疑ってもいいでしょう。



「権威性の法則」 権威のある人には弱い


@ 権威の法則

「虎の威を借る狐」のように、権威ある人の威光を利用するもので、メディアで活躍する著名人などの名前を都合よく使うことです。

★ 大学教授などの専門家の意見をつい鵜呑みにする

総じて人は権威のある人物には弱いため、昔から大学教授や科学者などの専門家の権威を利用した犯罪は多いのです。

実在する宮家の名をかたるとか、○○家の末裔などと称して大金を巻き上げる結婚詐欺事件などもありました。怪しげな健康食品や「幸運を呼ぶペンダント」のような霊感商法的商品では、顔写真とともに外国の博士のコメントが紹介されていると、それらしく見えてしまいます。これも権威の法則を利用した騙しのテクニックです。

古くは1980年代に大型悪徳商法として大問題になった「豊田商事事件」という詐欺私権がありました。金地金の購入契約をさせ、現物は渡さずに証券だけを渡す「ペーパー商法」を利用した詐欺でしたが、この事件では大物歌手や著名な芸能人が広告塔に利用されたのです。

芸能人たちもある意味では「被害者」なのですが、購入者たちは有名人たちの広告を見せられてすっかり信用してしまったのでしょう。そもそも「豊田商事」という社名も、まったく関係のないトヨタ自動車を連想させるために作為的につけたものであり、この事件で権威の法則が使われていることは明白です。

★ 振り込め詐欺では弁護士などを名乗る手口が横行

近年の振り込め詐欺でも、弁護士や警察官を名乗る手口が横行しました。たとえば、警察官を名乗る男が「振り込め詐欺犯を逮捕したところ、あたの名がかかれた名簿を持っていた。キャッシュカードが偽造された恐れがある」などと説明。「自宅に金融庁の職員が向かうので、カードを調べさせて欲しい」などと偽ってキャッシャカードを騙し取る手口でした。警察や金融庁など、権威的な肩書きをちらつかせて相手を信用させたのです。

★ 社会的地位が高いほど権威ある人になびきやすい

この「権威の法則」を利用して他人を操るには、比較的高学歴な人やある程度社会的な地位がある人ほど、効果的です。他人の上に立ちたがる人ほど、「権威」や「社会的信用」を重視しがちなので、ネットの口コミなどは信用しない反面、メディアで著名人や大学教授などの専門家が同じことを語っていたら、すぐに信じてしまうのです。

権威の法則は、いわば「虎の威を借る狐」的な手法によって、自分の意見に相手をなびかせるのに有効です。「以前に、○○社長がインタビューで言っていたことですが・・・」とか、「政治家の△△もやってるんだけど・・・」とか、「テレビで××先生も言っていたよ」などという前フリが効果的でしょう。

逆に権威の法則を知っておくことで、「有名人や権威のある人」の威光を借りて意見を言ってくるような人の口車には乗らないという処世術も自然と身につくはずです。ブラック心理術の使い手になれば、相手の手口がわかっているため、そう簡単には他人に操れないようになるでしょう。

A 知らないフリ作戦で「権威の法則」に勝つ!
専門用語を乱発されてもしつこく説明させ、根負けさせるか、著名人をダシにしてきたら、「知らないフリ作戦」で切り返す。

★ 理解しにくい専門用語で煙に巻こうとするのが手口

人をだまそうという悪意を持つ人は、「権威の法則」を多用します。結婚詐欺師などが旧皇族や財閥の名をかたるとか、著名人と知り合いであるかのようにウソをつくなど、さも自分が特別な存在であるかのように思い込ませるのも、権威の法則の悪用といえます。

権威の法則の使い手は、とにかく、たたみかけるように勢いよくしゃべり、コロコロと話題を変えたり、理解しにくい専門用語を使ったりして、こちらを煙に巻こうとします。専門用語を多用するのも、自分を専門的な知識がある一角の人物と思い込ませる手口であり、これも権威の法則のバリエーションです。

対策としては、何を言われても知ったかぶりはせず、「よくわからないので、わかるように説明して欲しい」という態度を崩さないことです。専門用語を乱発されても、「何を言っているのか、わかりません」と言い張り、しつこく説明を求めれば、相手のほうが根負けするはずです。

財界人や著名人をダシにしてきたら、「その人、誰ですか? 私はよく知らないので」と、逆の「知らないフリ作戦」が効果的。相手は「権威」を武器にできなくなります。

「君は知らないみたいだけど、すごく有名でえらい人なんだよ」と言ってきたら、「私にはどんなに偉い人だか、さっぱりわかりません」と切り返せばいいのです。


「希少性の原理・法則」「限定」という言葉に弱い


@ 希少性の法則

「限定」という言葉を使えば、人を誘導しやすくなり、「希少性があるもの」と相手に信じ込ませてしまうことです。

★ 数が少ないものには価値があると思い込んでしまう

多くの人が、どこでも入手できるものは価値が低いと感じ、数が少ないものほど価値が高いと考えがちです。これが「希少性の法則」で、いわゆる「限定商法」もこの法則を応用した売り方なのです。

「宿泊客が1日5組限定の宿」や「1日10食限定の特別メニュー」のように希少価値を前面に出されると、そこに何らかの特別な価値を感じてしまい、「特別なサービスが受けられるに違いない」とか、「珍しい食材を使っているはずだ」と勝手に判断して飛びついてしまうことがあります。

人は「限定」という言葉にとても弱く、冷静に考えればそれほど欲しいものでもないのに、「期間限定」と言われると、「今しか買えない」と考えてつい買いたくなるのです。また、「この情報はごく限られた人しか知らない」という触れ込みで、大して価値があるとも思えない怪しい情報を売りつける「情報商材」商法もこの応用です。

たとえば、プレゼントをする場合は、たとえ値段が高くなくても「希少性のあるもの」のほうが効果的だし、ポイントが上がるでしょう。また、「このことは誰も知らないんだ」などと希少性を匂わせた言葉で、相手の気を惹くこともできます。それほど大したものや情報でなくても、希少性のあるものだと相手に信じ込ませることができれば、あなたの存在を大いにアピールすることが可能になるでしょう。

A クールな切り返しで「希少性の法則」に勝つ!
その希少性が自分にメリットがあるのか、しっかり判断することが大切で、切迫感をあおられたら、いったんその場を離れてクールダウンしよう。

★ その希少性が自分にメリットがあるかは疑わしい

「限定品」と聞くだけで「今しか買えない」と思い込んで、つい不要なものまで買ってしまうという心理が「希少性の法則」です。珍しいものであることや、期間限定でしか販売されないということが、「今買わないとなくなってしまう」と買う側に切迫感をあおるので、効果を発揮する訳です。

しかし、希少性にごまかされると、実際より高い価値があるように錯覚しがちになり、そもそも本当に欲しいものかどうか疑わしい場合も多々あるはずです。つまり、その商品やサービスの希少性が「必ずしも自分にメリットがあるとは限らない」ことにも目を向けるべきでしょう。

希少性の法則が厄介なのは、「時間がない。今でないと買えない」などと切迫感をあおられて判断力が鈍ってしまうケースが多いことです。

たとえば、「対話式説得法」を活用した、以下のような切り返しを試してみるのも有効です。
A「これ、今買わないとダメかな?」
B「そうですね。限定なので今日中になくなりそうですよ」
A「そうなんだ。実は今財布を忘れちゃって、現金もカードもないんだ。諦めるしかない?」
B「いやいや、セールは明後日まで続きますから、ぜひまた・・・」
A「あれ、今日中になくなるって言ってなかった?」。
しかし、こんな切り返しもせずとも、いったんその場を離れて冷静に考え直すことで、希少性の法則の呪縛から逃れられる可能性は大きいはずです。





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